8月6日。
上海万博名古屋市ウィーク本番日。
前日の夜は深夜過ぎまでメンバー達とワイワイ部屋飲みをし、久しぶりにリラックスした楽しい時間を過ごした。
解散後は、即寝で。十分睡眠をとれた。
そんな頃、技術スタッフ(照明)と舞台監督は、夜10時に会場入りをして、深夜3時の会場受け渡しを待って、照明の仕込み作業をしてくれた。
こうやって、陰で支えてくれるスタッフが居るからこそ、我々演者は、舞台の上で輝くことが出来る。
本当に感謝だ。
目が覚め、ホテルの部屋から見える前の広場では「太極拳」をやっている人達が見える。
今日の天気はパッとしない曇り空。
ルームメイトのYo-Heyと、モーニングを食べに、1階のレストランへ。
このホテルのモーニングビュッフェはなかなか美味しい。特に、中国らしい「お粥」と「豆腐」は大好きな品。
普段は朝コーヒーしか飲まない俺だけど、旅先ではちゃんと朝から食事をとる。ただ、なまもの系には一切手を出さない。必ず火が入っている物だけ。
なまものは何があるかわからないからね。
特に今回は、体調を整えるという意味でも、これも仕事の一つ。
会場入りするのは昼からで、昼食をスタッフ含めみんなで取る予定になっているため、12時まではフリー行動。
10時にロビーでみんなと待ち合わせをし、限られた自由時間で上海を少しでも感じる。
今朝は、ホテルからほど近い(徒歩5分ほど)の所にあるデパートに出かける。
デパート内をザーッと見て回り、特に目新しい物はなく、その後少し周辺をみんなで散歩。
ホントわずかな時間で、特にポイントとなるような観光地でもないのだが、やはりここは中国・上海。
みんなそれぞれに、目新しく写る風景を思い思いに楽しんでいた。
本当は、もっと上海らしい物を感じられるところとかに連れて行ってあげたかったのだが、時間的な制約もそうだが、何より体力の消耗を俺は一番懸念していた。
プラプラと散策し、ホテルへ戻り、スタッフと合流して昼食へ出かける。
昨日行った、スタジアムの反対側にあるスーパーの横にあるレストランに入り、技術スタッフ・制作スタッフと共にランチ。
ランチ後、次の集合が午後2時半。1時間半ほどの時間に再度スーパーへお土産探しに出かける。
結局俺はお土産を何もゲットでき無かったのだが、そういえば会場入りし、控え室で「音が無い」事に気が付き、急遽ポータブルのスピーカーを購入。
これで、iPodを繋げて音が出せる。
30分強ほどで、ホテルへ戻り、しばし休息を取る。
この後はいよいよ会場入りだ。
30分ほど横になり、会場入りの服(スポンサードしてもらったナイキの服)に着替え、衣装や小道具を準備してロビーに集合。いよいよ会場入りだ。
このタイミングで俺は、iPodで音楽を聴き、一人の世界にドップリと浸かり始め、集中力を高めてゆく。
後で言われたことなんだけど、この時から、ピリピリ感が急激に上昇し「俺に話しかけるな」オーラが全開になっていたらしい(笑
ホテル前に用意されたタクシーに分乗し、会場を目指す。
iPodから流れる音楽をBGMに、流れる車窓の風景を眺めながら、何となくボーッとこの企画がスタートしたときのことや、みんなで夜遅くまで練習に明け暮れたこと、そして、その時間の終着地点が、今この目に飛び込んできている上海なんだ。
この上海なんかに負けてたまるか、飲まれてたまるか、俺達でこのばかでかい上海を必ず「Rock the House」してやる!
そんなことを考えていた。
会場近くのゲートに到着し、手違いで発行されなかったPASSの代わりの入場券を待ち、いよいよ会場内へ。
メンバーはテンション高く「観光気分」全開(爆
写真を撮りまくっている。まあ、ここそれぞれに、自分のテンションの上げ方って言うのがあり、それはそれで良いんだけど、なんか今ひとつ集中力に欠けているのが気になる。
ただ、ここまで来ると、自分の集中力を高めることで精一杯だ。
ゲートを抜け、セキュリティーチェックを抜けて、いよいよ会場へ。
日本館の端に設けられた「イベントステージ」。
ここが俺達がこの10ヶ月間という時間を費やして作り上げてきた「作品」の発表の場所になる。
会場に入り、メンバー達も「現実」が目の前にリアルに現れ始める。
会場を抜けて控え室へ入り、直ぐに「立ちリハ」の準備に取りかかる。
立ちリハは、今まで練習してきた環境と、実際のステージとの誤差を感覚で確かめてアップデートをする時間。
間合いの取り方や、お互いの立っている場所の距離感、床面の感覚を感じ、どれ位滑るのか、どれ位グリップするのか等々、細かな部分を修正する。
まず、軽くブロックごとの立ち位置の確認をしつつ、MaLは音作り&チェックを同時進行で進める。
音が決まったところで、ブロックごとに実際に音を出し、照明を動かしながらの立ちリハ。
リハ終わりで、照明さんがシュートの手直しをするための最終調整でもある。
当日入りをした「姫」もこの時点で無事に会場入りをし、これでキャストが全員揃った。
今回、演出家でもある俺は緊張がピークに達する。演者としてではなく、演出家としてね。
音が鳴り、演者がステージに立つ。細かく動きをチェックし、加修正を入れてゆく。
途中集中力が入っていないダンサーには檄を飛ばし緊張感を高めてゆく。
スタッフにも、準備できていない物を準備するように檄を飛ばして動かしてゆく。
舞台監督と細かく確認を取り合い、照明、音響さん達とも確認を取り、大体各ブロック2回まわしくらいで全体を完成させてゆき、我々のリハーサル時間が終了。
正確には20分ほど巻きで終わらせ、照明さんのシュート直しの時間に使ってもらう。
さあ、この後は「ゲネプロ(本番と同じ状況で行う最終リハーサル)」と「本番」を残すのみ。
一旦、控え室に引き上げて衣装に着替え、ストレッチなどをしながらゲネプロに備える。
制作からこのタイミングで軽い夕食が準備されたが、日本から持ってきた「カロリーメイト」を2本口にしただけで、俺は殆ど手をつけなかった。
姫の所属する「民族衣装普及協会」の先生に、俺達の衣装の着方を手直ししてもらい、いざゲネプロへ。
ゲネプロは1回だけ、よほどのことがない限り止めることはない。正に本番と同じでただ「お客さん」が居ないだけ。
もちろん、体力はまだセーブしている。怪我も怖いしね。
無事にゲネプロを終え、後は泣いても
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